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スポーツ障害について

2023/03/03

【スポーツ障害と外傷の違い】
・スポーツ障害:オーバーユース=使いすぎ等の持続的な負荷がかかることによって発症
・スポーツ外傷:一度の大きな外力によって発症

*スポーツ障害の種類

・テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
・野球肘(離断性骨軟骨炎)
・ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

腰部
・腰椎分離症
・分離すべり症
・椎間板ヘルニア
・梨状筋症候群


・ジャンパー膝(ジャンパーズニー)
・オスグット病
・分離膝蓋骨
・腸脛靭帯炎
・鵞足炎


・アキレス腱炎
・シンスプリント
・有痛性外脛骨
・三角骨障害
・踵骨骨端症
・偏平足
・足底腱膜炎
・疲労骨折(中足骨、脛骨)

等があります。

「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」
 テニス肘とは、肘の外側の筋肉(手首を背屈させる筋肉)の付着部である上腕骨外側上顆付近に痛みが生じる障害です。
テニスによって発症する人が多いため「テニス肘」という名称がついていますが、ゴルフ、バドミントン、剣道等でもよく見られます。
まら、日常生活の動作でも、同じ動作(フライパンで料理をする、雑巾を絞る)が繰り返されることでも発症することがあります。若年層での発症率は低く、30~50代の方によくみられる疾患です。

「野球肘」
 野球肘とは、成長期にボールを投げ過ぎることによって生じる肘の障害で、投球時の疼痛が主症状です。肘の内側に痛みがでる内側型・肘の外側に痛みがでる外側型・肘の後方に痛みがでる後方型があります。
・内側型:明らかな肘内側の圧痛、腫脹、投球時の可動域制限、時に小指側に痺れが出現する
・外側型:肘外側の疼痛、ロッキング症状を呈することもある
・後方型:肘後方の圧痛、投球時痛、ロッキング症状を呈する

繰り返しボールを投げることによって肘への負担が大きくなることが原因で、肘の曲げ伸ばしが悪くなったり、動かせなくなることもあります。痛みを我慢しながら投球し続けると、悪化し、場合によっては手術が必要になることもあります。
成長期のため、骨端線を損傷する重症例では、将来、骨変形を合併し、肘が外反肘(外側型)・内反肘(内側型)変形をきたすこともあるため、痛みがある期間は投球練習を休止し、体幹トレーニングを充実させることをお勧めします。

「ゴルフ肘」
 テニス肘が、肘の外側に痛みが出るのに対して、ゴルフ肘は、肘の内側に痛みが出るのが特徴です。
ゴルフのスィングは、体の回旋運動が同方向に行われるため、左右の体のバランスが崩れやすく、オーバーユース(使い過ぎ)や間違ったすぃんぐを続けると、特定の部位に過度なストレスがかかり障害を発生させることがあります。また、なかなか治りにくいスポーツ障害で、とくに日常的に腕を使う仕事をしている人は長期化することが多いため、早めの治療が大切です。
 ゴルフ肘は、痛みが生じる場所が肘の骨(筋肉の付着部)の付近であることから、ボールを打つ時の衝撃が骨に伝わることで発症していると思われがちですが、主な原因は、手先で打ったり、肘に無理な力がかかった状態でスィングを続けていることが原因と言われています。

 指や手首を動かす筋肉(屈曲させる筋肉)から肘を動かす筋肉にかけて疲労が蓄積されると、筋肉の付着部である上腕骨内側上顆部(腱)に過度な疲労が蓄積され、炎症を起こします。また上腕から肘にかけて筋肉が疲労した場合も、同様に上腕骨内側上顆部(腱)を痛めてしまうこともあります。
 筋肉は、年をとってもトレーニングで鍛えられるのに対して、筋肉と骨をつなげている腱は、加齢とともに老化が進んでいくために、中高年にゴルフ肘が多い理由とされています。

・ゴルフ(スィング)をした時
・肘の内側の少し出っ張った骨のあたりを押した時
・肘を曲げたり捻ったりした時
・腕を引っ張った時
・手を強く捻った時
 等の動作を行った際に、肘の内側の少し出っ張ったあたり(上腕骨内側上顆)が痛むという方は、ゴルフ肘である可能性が高いです。痛みが出始めた段階で、早めの治療をお勧めします。

「腰椎分離症」
 腰椎分離症とは、腰の疲労骨折と言われ、主に発育期の青少年に起こりやすい疾患です。
野球、サッカー、バスケットボール、水泳、ダンスなどの身体を反ったり腰を捻ったりする動作が繰り返されることで、腰椎にストレスがかかることが原因と言われています。
痛みを放っておくと、腰椎が完全に骨折してしまい「分離すべり症」となったり、脊髄神経を圧迫して、痺れや足の痛みを伴うこともあるため、悪化する前にしっかり治療することが大切です。

「腰椎椎間板ヘルニア」
 背骨は、椎体と呼ばれる骨が積み重なっており、その間にあるクッションのような役割をするのが椎間板です。加齢や長時間の不良姿勢が続いたり、スポーツで背中を反らせる・捻るなどの動きが続くことで、腰への負担で常にストレスを受けています。
 最近の研究で、“スポーツはヘルニアの発生と関係はない”という報告があるそうですが、椎間板が痛んでくると、軽微な外傷(打撲や捻挫など)やスポーツなどの急激な負荷、不良姿勢・動作の繰り返しにより、椎間板内の圧力が高まり、中心部の髄核がという柔らかい部分が飛び出し、ヘルニアを発症することはあります。
椎間板の後方には腰や足につながる神経があるため、その神経を圧迫することにより、腰や足に痛みや痺れが出てきます。悪化すると、排尿・排便障害を起こす場合もあります。

 椎間板ヘルニアは、ケースにもよりますが、ほとんどの場合は飛び出た部分は吸収され、2~3か月で自然治癒すると言われています。しかし慢性化することもあるため、痛みが強い期間は、体を反らせる・捻る等の激しい運動は避け、痛みが出ない程度の体幹トレーニングに取り組みと良いでしょう。

「梨状筋症候群」
梨状筋症候群とは、臀部の深層にある梨状筋が坐骨神経を圧迫して起こる神経障害です。
下肢の運動によって股関節外旋筋群が疲労し続けることで、硬くなり柔軟性を失うことが原因となり、梨状筋が坐骨神経を圧迫して、臀部から足にかけて痺れや鈍痛を引き起こします。
 特にランニングやダンスなどで股関節の屈伸運動を繰り返すスポーツでは、坐骨神経を摩擦し圧迫することが多いため、神経炎になりやすいです。また、スポーツ選手は、日頃から体を鍛えており筋肉が大きく発達していることも圧迫の要因の一つとも言えます。

 また、坐骨神経は通常、骨盤内から後方の臀部に出る時、梨状筋の下を通りますが、中には梨状筋を貫通したり、上下を挟むように通っている人もいます。このような場合は、筋の緊張により、より神経が圧迫されやすくなります。

「ジャンパーニー(膝)」
 ジャンパーニーとは「膝蓋腱炎」とも呼ばれ、ジャンプや着地、ダッシュやストップなど急激な動作を繰り返すことによって、膝蓋腱に生じるオーバーユースの1つです。
バスケットボールやバレーボールなどジャンプや着地を繰り返す競技に多いとされていて、ジャンプ動作の繰り返しによって膝に負荷がかかり、骨と靭帯の連結部分が炎症を起こして痛みが生じます。
男性に多いのが特徴で、特に競技レベルが上がってくる、小学生高学年~中学生にかけて最も多く見られます。
 大腿筋膜張筋の収縮に伴い、膝蓋腱に強い牽引力が繰り返し加わって生じます。典型的な症状は、ジャンプや着地、長距離走行した際などに生じる膝蓋腱部(膝のお皿の下辺り)の痛みです。そのため、思い切って飛べない、しゃがめない、全力で走れないなどのパフォーマンスの低下を訴えるようになります。

「オスグット・シュラッター病」
 ジャンパーニー同様、成長期特有の症状で、サッカーやバスケットボールをしている子供に多く見られます。骨の成長に対して筋肉の成長が追い付かず、スポーツによって関節に負荷がかかり発症する「成長痛」とよく似ています。
毎日の激しい運動が繰り返されて膝に負担がかかり痛みが生じた時は、過度な運動は避けて、完全に痛みがなくなるまでしっかりと治療を続けることが大切です。
 ジャンパーニーとの大きな違いは、痛みの部位にあります。ジャンパーニーは膝蓋腱(膝のお皿のすぐ下)に痛みが出ますが、オスグッド・シュラッター病は、膝蓋腱の付着部である脛骨粗面(すねの骨)に痛みが出ます。

「分離膝蓋骨」
 分離膝蓋骨とは、膝のお皿の骨(膝蓋骨)が2つ以上に分かれている状態のことを言います。
膝の前面をぶつけるなどで受傷(外傷)することもありますが、生まれつき分裂している場合が多いです。症状が出ないこともありますが、激しいスポーツ動作などをきっかけに分裂している個所にストレスが加わることで痛みが出現します。
膝蓋骨には、膝を伸展させる大腿四頭筋がついており、膝を曲げたり伸ばしたり繰り返すことで大腿四頭筋により分裂部に負荷がかかり炎症が生じ症状が誘発されます。
 
 また、分裂膝蓋骨の人のうち、約40%の人は両膝に分裂があると言われており、膝蓋骨の成長過程での癒合不全という説と、成長期の激しい運動により膝蓋骨に繰り返し負荷が加わり続けることで疲労骨折のような現象が起きて、分裂してしまうという説がありますが、未だ原因は解明されていないそうです。

    
 

「腸脛靭帯炎(ランナーズニー)」
 腸脛靭帯炎(ランナーズニー)とは、長距離を走るマラソンランナーに多く見られます。
膝の外側(腸脛靭帯の付着部)に痛みが出現し、きしむ感じや引っかかるような痛みが出ることがあります。
腸脛靭帯は大腿骨の外顆の上を通るため、ランニング時の膝の曲げ伸ばしの反復によって、過剰な摩擦のような刺激が原因とされ、とくに男性に発症することが多い症状です。
 初期症状は、運動中や運動後に痛み、安静にしていると痛みが消えます。しかい、症状が悪化すると歩行時や安静時にも膝の外側にい網を感じるようになります。

「鵞足炎」
 鵞足炎も、腸脛靭帯炎(ランナーズニー)と同様に、ランニングによって多く起こる膝の障害です。
膝の内側(やや下)には、内側ハムストリングス(半腱様筋)・内転筋(薄筋)・縫工筋(骨盤内側から大腿前面を通る)の腱が集まり、脛骨に内側に付着します。
膝の曲げ伸ばしが繰り返されることで、これらの腱が大腿骨内顆や脛骨内顆とこすれ、また腱同士の間でもこすれ合う摩擦が繰り返されることで、腱の周囲を包む腱鞘や複数の腱の滑走を助ける滑液包に炎症が生じて、炎症や痛みが発症します。
 また、不良な運動動作「ニーイントーアウト」(膝が内向き、つま先が外向き)原因で起きることも多くあります。
 初期は、動かし始め(屈伸運動)に引っかかるような違和感があっても、ウォーミングアップで温まると楽になりますが、繰り返しの動作でまた徐々に違和感や着地時に痛みが出てきます。症状が進行すると、温まっても違和感が消えず、練習の後半に痛みとなって連取を中断するようになり、さらに進行すると、ウォーミングアップ時から引っかかりや痛みが強くなり、練習ができない状態になります。

「アキレス腱炎」
 アキレス腱炎とは、剣道や陸上、バレーボール、バスケットボールなどのジャンプスポーツをする人やランナーに良く見られます。走ったり飛んだりする動作で、アキレス腱に繰り返し負荷をかけ続けることで発症します。
 ・スポーツの練習で限界以上の負荷をかけ続ける
・普段あまり運動をしない方が急に運動をする
・体の使い方に癖がある
・偏平足
・そこのすり減った靴を履いている
等が原因で発症しやすくなります。

運動をしている時や座っていて歩き始める時にふくらはぎから踵のあたりにかけて痛みを感じることもあります。進行すると、アキレス腱を軽く触るだけで痛みを感じたり、腫れて熱感を生じることもあり、さらに悪化すると、つま先を軽く伸ばすだけでも痛みが生じ、歩行が難しくなることもあります。

「シンスプリント」
 シンスプリントとは、長距離を走る陸上競技やサッカー、バスケットボールなどをしている中高生に多く見られ、運動時および運動後に畝の内側に痛みを起こす過労性障害で“過労性脛骨骨膜炎”とも呼ばれています。

・過度の練習による疲労
・硬い路面での練習
・靴が合わない(踵の摩耗)
・下肢の形態異常(O脚・回内足・偏平足)
・下腿三頭筋(ふくらはぎ)の柔軟性低下
・股、膝、足関節の柔軟性低下
・足関節の可動域制限
など、原因は様々です。

         
 病態は、下腿内側筋群の疲労により柔軟性が低下し、特にヒラメ筋を主として後脛骨筋、長趾屈筋付着部が脛骨の表面を覆う骨膜を牽引し、微細な損傷が炎症を起こし、下腿内側の痛みを発生させると考えられています。
※痛みの部位によって、下腿の前外側に痛みが出る前外側型(前脛骨筋、腓骨筋など)と、下腿の後内側に痛みが出る後内側型(後脛骨筋、ヒラメ筋など)に分けられます。

 発症初期は、痛みはあってもウォーミングアップにより消失しますが、進行するとスポーツ活動終了後や活動中に痛み出すようになり、さらに進行すると常に痛むようになり、日常生活にも支障が出るようになります。また一定の場所に負荷がかかり続けると、疲労骨折を起こす場合もあります。

「有痛性外脛骨障害」
 有痛性外脛骨障害とは、足の内くるぶしの前方足底側に余分な骨(過剰骨)が認められ、自発性の痛みを伴う疾患です。スポーツ活動の盛んな10~15歳の思春期に多く発症し、運動を繰り返し続けているうちに徐々に痛みが強くなることが多いと言われていますが、成人例では、捻挫などの外傷がきっかけとなって発症することもあります。
 外脛骨は、足部過剰骨(本来はない過剰にある骨)の中で最も頻度が高く、後脛骨筋腱が付着する舟状骨内側後方にみられます。正常人の15%前後にみられると言われており、女性に多く80~90%は両側性です。
 急激な運動負荷や外傷を契機として後脛骨筋腱による外脛骨部への牽引力が加わると、同部に痛みが発生します。外反扁平足を合併することが多く見られます。
  
※後脛骨筋: 舟状骨(青部分が過剰骨)に付着している

「有痛性三角骨障害」
 三角骨とは、外脛骨と同様に足関節の距骨の後ろにある過剰骨(本来はない過剰にある骨)です。多くの場合片足だけに見られ、健常者の約10%にあるとされています
三角骨障害は、足関節後方のインピンジメント症候群の1つです。インピンジメントとは「挟まる」「衝突」を意味します。

・サッカーのインステップ
・ジャンプ動作
・バレエのポワント動作
・空手の蹴り動作
・体操や新体操でつま先を伸ばす動作
・水泳のバタ足
などの動作時に、過剰骨である三角骨が足関節後方で脛骨と踵骨の間に挟まれて痛みが生じることを有痛性三角骨障害と言います。

 三角骨(過剰骨)が形成された後に起きる障害のため、10歳代半ばの中学静~高校生頃から出現する可能性が高くなります。過剰骨は、通常ほとんどの場合無症状ですが、急激に足関節を底屈(つま先を伸ばする)させるような動作を繰り返すことで、三角骨が足関節後方(アキレス腱の奥)で挟み込まれて痛みが出ることがあります。特に、クラシックバレエや新体操、サッカーなどの足首を繰り返し底屈させる動作を行うスポーツ選手に多くみられます。
  
      図1                    図2

※三角骨(過剰骨)は、距骨後方(図1 赤いマーク)にできるため、足首の底屈に加えて足趾も一緒に底屈(ポワント動作)させるバレエなどでは、長母指屈筋・長趾屈筋(図2)も収縮され、さらにインピンジメントが起きやすくなるために、特にバレエダンサーに起きやすい障害とされています。

「踵骨骨端症」
 踵骨骨端症(別名:セーバー病、シーバー病)は、10歳前後の男児に多くみられる疾患で、踵の軽い腫れ、圧痛、歩行時痛がその症状です。過激な運動の後に症状が出ることが多く、踵の痛みのため、つま先歩きになることもあります。

発育期の子供の骨は未発達で、とくに踵の骨はアキレス腱と足底腱膜という強固な組織が付着しており、とても大きな力がかかってきます。ランニングやジャンプ動作などで、アキレス腱や足底腱膜による牽引力が、踵骨骨端核に繰り返し加わることで、踵骨に血流障害や炎症が起きて痛みが生じます。
通常は、オーバーユース(使いすぎ)が大きな原因とされていますが、打撲などの外傷がきっかけとなり発症することもあります。また、土踏まずがないような偏平足の場合も踵に負担がかかりやすく、踵骨骨端症の約8割の人に、偏平足などの足のアライメント異常があったとされる報告もあります。

 踵骨骨端症は、スポーツ全般で起こり得ますが、特にジャンプや長く走ることの多いサッカーや野球、バスケットボール、裸足や底の薄い靴で競技を行う剣道・体操・バレエなどの運動を活発に行っている10歳前後(小学生高学年~中学生前半)の男子に多く起こり、女子の約2倍の頻度です。通常、片足に起こることが多いですが、まれに両足に起こることがあります。
 踵の腫れ、圧痛、歩行時痛がみられ、軽症のうちは踵が少し痛いくらいですが、重症になると痛みで脚を付けなくなることもあります。経過は半年~1年と長くかかることがありますが、骨が出来上がってしまえば、その後に痛みが続くことはありません。
 成長期の子供に起こるため「成長痛」と捉えられてしまうこともありますが、膝のオスグット病と同じく、「スポーツ障害」の1つです。初期段階で治療することが、スポーツへの早期復帰に繋がります。

       
  

「偏平足障害」
 足部には、重心の安定性を高め、歩行時に蹴りだす力を増し、さらに衝撃を吸収する働きがある「アーチ」という構造があります。縦アーチ(内側・外側)と横アーチがあり、土踏まずの形状もこのアーチによって作られています。
       
※A-B 横アーチ/A-C 内側縦アーチ/B-C 外側縦アーチ

正常なアーチは地面からの衝撃を効率よく吸収しますが、アーチが崩れることにより地面からの衝撃が足に大きくかかり、歩行や運動の繰り返しにより痛みが生じることがあります。症状が強くなると、安静時の痛みや腫れが出現し、歩行がままならないこともあります。

 土踏まずは、歩行前の乳幼児にはありませんが、歩行を重ねるごとに足のアーチ構造が鍛えられ、徐々に形成されます。
        
    
         
       ※上図:正常/下図:偏平足

乳幼児に生じる偏平足を「幼児期偏平足」と言い、成人に生じる偏平足を「成人期偏平足」と言います。幼児期偏平足は、成長と共に改善することが多く、問題となることはほとんどありません。しかし、成人期偏平足はさまざまな症状を引き起こすことがあり、重症な場合には手術が必要になることもあります。

乳幼児偏平足
大半は特に症状はありません。足を形成する骨をつなぎ合わせる役目を持つ靭帯が緩むことで、足のアーチが十分に形成されないことが原因となりますが、歩行を重ねるごとに靭帯の弛緩性も解消し、成長と共に改善します。
しかし、先天性足根骨癒合症などのように成長に伴って改善しないタイプの偏平足では、歩行開始の遅れや、歩行の不安定さ、姿勢の悪さなどの症状が生じることがあります。

成人期偏平足
 足のアーチを作る靭帯や腱が、加齢による変性や長時間の立ち仕事や歩行、過度な運動などによって傷つき、足のアーチが持続できなくなることが原因になります。
足関節の靭帯や腱の付着部に腫れや痛みが生じます。内側のくるぶし付近に生じることが多器ですが、損傷を受ける場所によって腫れや痛みは変わり、足の裏や外側に症状が出ることもあります。また症状が悪化すると足関節の柔軟性が失われ、歩行障害や姿勢が悪くなって頭痛や腰痛などを引き起こすこともあり、全身に影響を与える可能性があります。

「足底腱膜炎」
 足底腱膜炎は、つくるつま先から踵まで足の裏を縦に走る足裏のアーチをつくる足底腱膜の付着部である踵付近における炎症です。朝の起床時に立ち上がりの一歩で踵を付いた際に強い痛みが出ることが特徴で、若い男性アスリートに多く見られます。
また中高年の女性にも多く見られます。(女性ホルモンであるエストロゲン減少が影響される)
 足のアーチ構造を支える足底腱膜が炎症を起こし、小さな断裂を繰り返している状態で、踵や足底が地面に着地した際に、足底腱膜が伸ばされて痛みが生じます。
またウィンドラス機構がうまく機能しなくなるため、足を蹴りだすエネルギーが足りなくなります。
         

※『ウィンドラス機構』
ウィンドラス機構とは、足裏にある「足底腱膜の反射」のことを言います。人が歩く時、足趾が反りかえることで腱膜が持ちあげられ、それがバネのように戻ることで推進力を生みだします。ウィンドラス機構がうまく働かないと、歩幅が短くなり歩くスピードが遅くなったり、躓きの原因にもなります。
     
  
  
「疲労骨折(中足骨・脛骨)」
 疲労骨折とは、スポーツ中の衝突や転倒などの一回の負荷で引き起る骨折とは違い、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって骨にひびが入ったり、骨折してしまったりすることを言います。
アスリートに多い原因として、短期的に集中的なトレーニングを行った時に生じることが多く、筋力・技術・柔軟性の不足があると、さらに骨への負担は増大します。またオーバートレーニングによる疲労の蓄積も原因の一つと考えられています。最初は運動時のみの疼痛が見られ、進行していくと安静時にも疼痛が発生します。

疲労骨折の多い部位として、足裏を形成する5本の骨「中足骨」が一番多く(第3中足骨(中指)が最も多く→第2中足骨→第4中足骨の順に続く)、次にすねの骨「脛骨」が多いとされています。
 中足骨の疲労骨折は、ランニング、バスケットボール、ラグビーなどの素早さを求められる競技や、バレエダンサーや新体操選手のようにつま先立ちしたりジャンプ動作をしたりする選手に多く発症しやすく、脛骨の疲労骨折は、すねの骨に圧力がかかるバレーボール・バスケットボールなどのジャンプ競技や、サッカー・ハンドボールなどのランニングの多い競技で発症しやすいとされています。

中足骨・脛骨以外の疲労骨折頻発部位 
・足の舟状骨(内くるぶしの少し手前)
・肘(野球の投球動作が原因で起きる、いわゆる「関節ねずみ」と呼ばれるものは、疲労骨折の結果、肘の骨が剥離したもの)
・腰(腰椎分離症)
・肋骨(ゴルフなど繰り返されるスィング動作)

疲労骨折の原因
・最大の原因は、オーバーユース(使いすぎ)。局所への負担が増しリスクを高める。
・不良な運動動作
・生活習慣(普段運動をしないのに、急に運動を始めるなど)
・筋力不足(筋力が弱いために直接、骨に負担がかかるため)
・骨の脆弱化(過度なダイエットや過酷な練習によって骨密度が低下してしまうため)
・偏平足(足底アーチの消失によって、クッション機能が働かなくなり、特に第2中足骨、舟状骨へ負担が大きくなる)

栄養不足からくる疲労骨折にも要注意
 タンパク質に含まれるコラーゲンは、カルシウム・リン・マグネシウムなどのミネラルが組み合わされて骨の強度・弾力・耐性を作り出しているので、加工食品や保存料に含まれる『リン』を過剰摂取すると、カルシウムの吸収を抑制するので、摂り過ぎには注意しましょう。

【足部アライメントの崩れは、足関節・足部の痛みを引き起こす】

 足関節は、距腿関節と距骨下関節からなり、足部は7つの足根骨と5本の中足骨、14本の趾骨で構成されています。

※赤マーク: 距腿関節/青マーク: 距骨下関節

・距腿関節は、主に底屈背屈運動と、わずかに回内回外、外転内転運動が生じます
・距骨下関節は、回内回外、外転内転運動が生じます。
足関節においても、回内回外運動と外転内転運動が生じており、足部にはない外側縦アーチと横アーチ構造が存在し、足部に加わる力を緩衝しています。(トラス機構)

         

【足関節のアライメントの崩れから起こり得る傷病】
・足関節内反捻挫
・足関節外側捻挫
・偏平足障害
・足部疲労骨折
・外反母趾障害
・過剰骨障害
等があります。

 足関節は、床面に固定された足部の直上において下腿の運動が生じる関節であり、大きな荷重を支えつつ、下腿の運動を行うため、強い筋力と可動域が必要になります。
 足部は、直立二足歩行において唯一地面に接している部位で、歩行中には体重以上の力が加わり、加重位での足関節、足部の可動域の低下は隣接する足部や下腿の運動だけでなく、膝や股関節の運動にも大きな影響を与えます。つまり、足関節周囲の筋力低下や可動域制限は、足関節より近位の大切や遠位の足部の異常を起こし、足関節・足部の疼痛はもとより、膝や股関節の痛みの原因になることもあります。

【治療について】

・急性期の場合で、疼痛・熱感・腫脹があればアイシングを行いながら、ほぼ何も感じないほどの微弱な電流を流し、組織損傷を促進させるMCR(マイクロカレント療法)や、疼痛抑制・浮腫軽減作用に効果が高いハイボルテージ療法
・筋疲労の集積で硬くなった筋肉の緩和、筋委縮の改善、弱っている筋肉に対して筋力トレーニングに効果が期待できるEMS(神経筋電気刺激療法)
・組織の収縮機能改善、血流改善、筋緊張緩和、骨格筋の収縮機能改善など、深部までアプローチが可能な超音波治療
・骨折や、腱鞘炎に治癒促進に効果の高いLIPUS(低出力パルス超音波治療器)

など症状に合わせた物理療法の他に併せて、リハビリテーションから生まれた運動療法、PNFテクニックによって、崩れてしまった体全体のバランスを調整し、再発防止、さらにパフォーマンス力向上を目指した体作りに取り組んでいます。

 

  • SMiLE 整骨院

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