施術内容

PNFについて

“PNFとは何か”

PNFとは、Proprioceptive(固有受容性感覚器) Neuromuscular(神経筋) Facilitation(促進)という頭文字をとった略語です。

 歴史は、1940年代にアメリカの神経生理学者でもあった医師ハーマン・カバットが構築し、1950年代に理学療法士のマーガレット・ノットやドロシー・ボスが手技として確立した。当初はリハビリテーションの徒手テクニックとして、脳や脊髄をなど神経に関わる病気やケガによって動きに制限がでてきた身体を回復させるために活用されていました。

現在では医療の現場だけではなく、各種スポーツ選手のパフォーマンスの向上、肩こり・腰痛の予防や改善、ダイエットに至るまで幅広く支援されるようになってきています。

最大の特徴としては、人の手から身体へ感覚を通して神経にアプローチすることで「動きやすさ」を出していき、柔軟性や関節の動き(可動性)を向上させるというものです。

“神経に働きかける”

 普通にトレーニングをする場合、自分の意志で力を入れて筋肉を動かしています。

 

一方PNFでは、クライアントが動かす方向に対して、施術者が徒手で抵抗をかけていくのが大きな特徴です。つまり、クライアントが自分の意志で力を入れていく前に、動かす方向に対して「反射」がまず発生しているのです。これがいわゆる神経に対してのアプローチになります。

施術者が動かすように指示し、クライアントが抵抗を感じる感覚神経

クライアントは、支持を受けて筋肉を動かす運動神経

PNFは、このように感覚神経と運動神経が働いている状態で筋肉を動かしていきます。

“遠心性神経と求心性神経から見るPNF理論”

遠心性神経=脳から各機関への神経の流れ

求心性神経=各器官から脳への神経に流れ

 

  • 右肘を曲げる場合、脳から「右肘を曲げろ」と腕の筋肉に対して神経を通して指令を送り、その指示に従って筋肉が反応し、肘が曲がります。この遠心性の神経の流れが、いわゆる運動神経です。

  • 一方PNFでは、同様に右肘を曲げようとする時、動く前に施術者がクライアントの右手首にそっと抵抗をかけます。この時、クライアントの脳には、触れられた右手の先から、施術者からかけられている抵抗の強さや力の方向などの情報が伝わっています。この求心性の神経が感覚神経です。支持をうけてから「(抵抗に対して)肘を曲げろ」と脳からの指示が運動神経を通して筋肉に送られます。

 

このようにPNFでは働く神経は「求心性」から「遠心性」へ流れていると言えます。

 

通常のトレーニングでは流れない神経のルートを活性化することにより「動きやすさ」を向上させることができるのです。これを道路で例えれば、通常のトレーニングは一方通行(1車線)の道路であるのに対して、PNFは2車線で反対の方向にも進むことができるという感じです。どちらの交通量が多いかというと、2車線の方になりますね。

筋肉は神経につながっていてはじめて動くわけですから、この神経がより促通することで筋肉が発達して、より動きやすさが出てきます。通常のトレーニングよりも神経の流れが良くなることから、少ない回数でも効果を発揮すると言われます。

また、徒手での抵抗という特性から、クライアントの出す力に合わせてトレーニングができるので、筋肥大するほどの高負荷ではなく、細くしなやか筋肉の形成となっていくのが特徴です。

PNFでトレーニングをすすめていくと、より「求心性」~「遠心性」の神経の流れが活性化していき、それに反応する筋肉もより動きやすくなることで、トレーニング効果を高めてくれるのです。

“体に与える効果影響”

 PNFは、リハビリテーションや潜在能力を引き出すという一時的な効果はもちろんのこと、二次的に効果を発揮するのが、肩こり、腰痛の軽減です。全身の柔軟性が向上して、筋肉が柔らかくなるので、当然の効果と言えます。

PNFのアプローチによって、肩関節、肩甲骨の可動域が広がることで、日常の動作も滑らかで自然な動きとなってきます。これにより普段何気なく歩いている時でも、腕が大きく振れて、腰の回旋(ねじれ)も入って、ダイナミックな動作が可能になります。

腰痛も同様で、下半身の太ももの裏の筋肉「ハムストリングス」の柔軟性が向上して、前屈がしやすくなり、腰にかかる負担も軽減されると考えられます。

“体脂肪が燃焼するような有酸素運動”

 PNFは、ゆっくりとした有酸素運動で、「遅筋」を作り出すことを中心としています。

 

※筋肉には「速筋」と「遅筋」というものがあります。

  • 「速筋」:大きな力を出す太い筋肉だが、血液量が少なく、持久力がない筋肉で「白筋」とも呼ばれる。

  • 「遅筋」:あまり大きな力は出せないが、細くて血液量が豊富で、持久力のある筋肉で「赤筋」とも呼ばれる。

無酸素運動をすると、速筋が鍛えられて筋肥大する傾向がありますが、PNFはゆっくりとした有酸運動で引き締まる遅筋を作るので、身体全体が引き締まり、ダイエットとしての効果もでるのです。

しかも、遅筋は血液量が豊富なので、身体の血流が良くなることでリンパの流れも促進され、美肌効果、むくみ・冷え性などの解消にもつながっていきます。

“柔軟性が上がる理由”

 まず第一に神経の流れが促されることで、血流が増加します。そしてこれによって、筋肉の硬直が緩みストレッチの効果が出やすくなります。

通常のスポーツやトレーニングでも、練習後にストレッチをします。これは柔軟性の確保や筋肉に疲労を残さないことを目的としていますが、PNFは通常の運動よりも神経の流れが良いので、高い効果が期待できます。

次に「ホールド」「リラックス」を一つの流れに含んでいて、しかも「拮抗筋」にアプローチできる点です。

PNFでは、施術者がクライアントに抵抗を入れながら、クライアントに能動的に動いてもらいます。これを1パターンあたり約10回程度、同じ動きを繰り返すのですが、ラスト1回を“最終ライン”で10秒ほど止めます。これを「10秒ホールド」といいます。 

動作で使っている(=収縮している)筋肉を「主働筋」といい、その反対側の筋肉(弛緩している)を「拮抗筋」といいます。主働筋が最大に働いているとき、拮抗筋は緩んだ状態になります。この状態で「拮抗筋」が最大に伸びた状態が、“最終ライン”になります。

この最終ラインで止めることで、拮抗筋をストレッチする効果が最大限に発揮されるのです。

 

ただし、この時に可動域を超えてしまうと「伸張反射」が起きて、かえって固くなってしまう可能性がありますから注意が必要です。(引っ張りすぎたゴムが勢いよく縮むのと同じです)

 

PNFでは、施術者がクライアントの柔軟性、可動域を確認しながらアプローチしますから、その“最終ライン”の“ちょうどいいところ”で筋肉を伸ばすことができます。そして、ホールドの後、ゆっくり力を抜いて緊張を和らげます。(リラックス)

 

「動かして→止めて→緩める」この流れが、柔軟性アップには一番効率的なのです。これは、PNFの特徴といえます。

※一般的なストレッチでは主働筋を伸ばそうとします。つまり、縮んでいる筋肉を引き延ばす動きです。

また、柔らかくなろうと思うあまりに最終ラインを無視して、可動域を超えて頑張ってしまうのでかえって逆効果であることもあります。(=伸張反射)

“神経が促進することで肩こり、腰痛などを改善”

腰痛の大きな原因は腰椎周辺から下半身にかけての筋肉のコリや柔軟性の少なさにあると考えられます。PNFでは、低負荷で効率よく筋肉を動かすことでコリが緩和されて、可動域も広がっていくので腰痛が改善されると言えます。

 

また,

PNF自体が軽い運動にもなるので、最近とくに体の痛みに対して最大の原因とされている「ストレス」を解消することにも役立ちます。施術者と一緒にトレーニングをすることで、コミュニケーションもとれ、気持ちよく体質改善、ストレスの発散にもなるわけです。

 

肩こりも同様です。肩こりは肩の構造の複雑さから、さまざまな要因で発生しているのですが、肩関節や肩甲骨へのPNFのアプローチ法はバラエティに富んでおり、そうしたアプローチの中に改善する手段がきっとあるはずです。

PNFは「遅筋」を中心としたトレーニングであることは説明しましたが、さらに特徴的なのは「インナーマッスル」に働きかけられることです。インナーマッスルは深層筋とも呼ばれ、その名の通り身体の深いところにある筋肉群です。瞬発力のあるアウターマッスル(表層筋)に比べ、インナーマッスルは姿勢の維持に活躍するため、遅筋の割合が多いと言われています。

肩関節の周囲には、このインナーマッスルが複雑に関連しており、その多くは通常のトレーニングでは鍛えることは困難です。しかし、PNFは施術者が徒手でアプローチする利点から、あらゆる角度からのトレーニングが可能なのです。しかも、その後のストレッチが良く効き、クライアントさんが驚くほどよく伸びます。

 

こうしたアプローチの先に、肩こり、腰痛などの改善があるのです。

“身体が動かしやすくなるからダイエット効果と部分痩せも期待できる”

PNFは、施術者が徒手でアプローチするからこそ、あらゆる角度からのトレーニングが可能である...

 

つまり、こうしたPNFの特徴を応用すれば、ポイントを絞った「部分痩せ」も可能になるのです。

 

PNFでつくるのは細くても、血液量が豊富で、持久力のある遅筋です。この遅筋をつくることで、筋肥大せずに、細く引き締まった身体をつくることになります。身体の筋肉の大きさが、そのまま見た目にも現れるので、細く締まった腕や脚、くびれのあるウェストになるのです。

 

また、筋肉は車で例えるならば「エンジン」にあたり、脂肪が「ガソリン」にあたります。そう考えると、血液量が多く、持久力の高い遅筋は、脂肪を燃焼するのに最適なエンジンと言えます。

エンジンなら大きくて瞬発力のある速筋の方が、ガソリン(脂肪)を大量に消費する(=エコじゃない)から、ダイエットには効果的と思われるかもしれませんが、力強く動いた後、すぐにヘトヘトになっていては、毎日の生活が快適に送れません。

逆に小さくても持久力のある遅筋をエンジンとした方が、一日中休みなくガソリンを使い続けてくれるので、結果的に良いエンジンだと思いませんか?しかも身体を引き締め続けてくれます。

 簡単に表現すると、

【PNF→遅筋(インナーマッスル)の発達→引き締まる→脂肪が燃焼する】

という図式です。

さらに、PNFの特徴である神経の促通によって、身体全体の協調性、柔軟性が向上しますから、日常生活でもあらゆる動作が機敏で反応の良い状態になります。

“コンディションを高めてQOLの向上”

PNFで運動神経が促通することで、日常生活でもあらゆる動作が機敏で反応の良い状態になります。

PNFを受けているクライアントさんで、こんなお話があります。

 

「この間、通勤の時に駅の階段で人がぶつかってきて、下に転げ落ちそうになったんですよ。でもとっさに身体が動いて、手すりをつかめたのでケガをしなかったんです!」と...

 

つまり、PNFは高齢者の転倒予防などにも、この徒手テクニックは使えるのです!

 

 一般的に年齢を重ねてくると、筋肉が低下するのと同時に神経の反応も鈍くなります。

「それが歳をとることじゃないか!?」と言われたらそこまでですが、日本の少子高齢化を考えると他人ごとではありません。医療の発達で平均寿命は延びたのですが、それを支える若年層が少ないのです。だから、高齢者も健康寿命を延ばして、自立して生活できる身体づくりをしておかないと、元気で健康な生活を送ることが難しくなるのです。

これからの社会は、「QOL(Quality Of Life)=生活の質」の維持、向上こそが重要になります。PNFでは、コンディションを整えて、長く健康的でいられるための、高齢者の方々へのアプローチに最も適していると言ってもいいかもしれません。

施術者がクライアントの呼吸や体力を見ながら行う負荷や回数も調整できます。それに受動的に受けるだけでなくて、クライアントに能動的に動いてもらう技法ですから、その実感で意欲的になってもらえるはずです。

 

以前、私が勤めていた整骨院での話ですが、80歳の女性の方で、いつも足を擦るように歩いていたのですが、ある日いつも以上に「足が重い」とヨタヨタした足取りでいらっしゃいました。そこで、PNF下肢パターンを施すと、帰りは軽やかな足取りでお帰りになられました。

もちろん、若年層の方々でも、これからの予防医学の一環として続けることが大切です。

 

最近では、コロナの影響によってテレワークが増えたことから運動不足となり、身体の不調を訴える方が増えています。PNFによって筋肉の血流がよくなることで疲労物質や痛み物質の流れるし、また関節の可動域が上がることでセルフケアもし易い身体づくりもできるはずです。