もしこのメカノレセプター機能が不十分だと、脳は体の位置関係が分かりにくくなり、わずかにバランスをくずしただけでも体がグラグラ揺れてしまい、さらに機能低下が進めばバランスを取り切れずに転んでしまうこともあります。高齢者が転倒しやすいのは筋力低下だけでなく、このメカノレセプターの能力が落ちているのも原因の一つです。
メカノレセプターの特徴
メカノレセプターは、“使わなければすぐに機能低下を起こす”という特徴がります。
例1,
足関節や足趾を骨折して長い間、ギプスなどで固定されていた人は、ギプスが外れて直ぐの頃は、歩く時にバランスを崩しやすいということがよくあります。これはギプスなどで足が固定されている間、メカノレセプターを使う機会がなくなり、そのためにセンサー機能が低下してしまうことが原因です。
実際に私が整形外科に勤めていた時、10歳ぐらいの男の子の症例ですが、骨折で固定をして松葉杖生活を3週間ほどしていました。Dr.から松葉杖はもう不要だと支持を受けたので松葉杖を返してもらうと、足のつき方がわからなくなり立つことができなくなってパニックを起こし泣き出してしまいました。新人だった私の手に負えず、リハビリ室に戻るために松葉杖をわたすと走るようにピョンピョン元気に戻っていきました。
心理的な要因も大きいですが、パニックの引き金になったのは、このメカノレセプターの機能低下から立てなくなったことにあります。
例2,
外反母趾や偏平足という足の変形も、メカノレセプターの能力を低下させる原因になります。
『歩行周期』
普段何も考えずに歩いていますが、動きを分析した「歩行周期」というものがあります。

a b c d e f
踵接地 足底接地 立脚中 踵離地 足尖離地
a~fを「立脚期」と言います。 ※efはもう少し床から離れます
この時の足底の体重移動は、下図のようになります。

① →a ②→e ③→f
歩行時に体重は、踵→小指球→母指球→母趾の順に乗っていきます。ちょうどメカノレゼプターが多く存在しているところです。
偏平足や外反母趾があると、この体重移動がうまくできなくなるのでメカノレゼプター機能を使わなくなり、そのために機能が低下してしまいます。変形だけでなく、O脚・X脚も体重が足底の外側や内側に偏ることで体重移動が変化してしまうので機能低下の原因になりえます。
「私の足裏、ちゃんと機能してる?」と不安になった方は、下記のテストを試してみてください!
↓↓↓
テスト1:『片足立ち』
平らな床の上(できたらフローリング)で片足立ちをして、何秒できるか計ってみましょう。
20秒以上できれば合格!それができたら、次は目を閉じて同じことをしてみましょう。
メカノレセプターに問題がなければ崩れずに保持できます。
高齢者の方は、近くに支えるものがある所で行ってください。転倒には十分に気を付けてください。
テスト2:『足指だけで床を掴むようにして進む』
両足を肩幅より少し狭いぐらいに開いて立ちます。
そのまま足の指をグッと曲げる(握る)ようにしながら、足の指の力だけ前に進んでみましょう。
足の指が尺取り虫のようになるように「曲げる→伸ばす」を繰り返しながら進みます。推進力は足の指だけです。
10回程度の曲げ伸ばしを行い、スムーズに進むことができれば合格!
どうです?できましたか?
メカノレセプターがうまく機能していないとグラグラするだけじゃなく、本来使うべき筋肉を使わずにいるため姿勢も崩れやすく、筋力低下や偏った筋肉を使い続けることで痛みの原因ともなります。更にバランスの悪い状態でスポーツを続けた場合、技術の向上も難しくなり怪我の原因にもなりえます。
特にダンサーは気を付けてほしい!
ダンスのクラスで「床を使って」て、よく聞きませんか?
それはもう「メカノレセプターを研ぎ澄ませて」と言っているのと同じだと思ってください!
床をうまく使えるようになることで、バランス感覚を培う。床との摩擦が起きるので足の筋肉や体幹のトレーニングとなり、体をうまく使えるようになる。=体幹の安定につながり、無駄な力が抜けやすくなり、体全体の動きもよくなります。
メカノレセプターを活性化しよう!
メカノレセプターは、機能低下が起こりやすいですが、筋肉と違って意識して使うことで刺激が入り回復が早いという特徴があります。
セルフケアとしては
タオルギャザ―:床(できればフローリング)にタオルを置いて、踵はタオルを踏んだまま足の指を思いきり開いたところから、ギュッとタオルを引き寄せる。

趾じゃんけん:指全部をギュッと握ってグー、親指だけを背屈させるようにチョキ、5本指を開くようにパー。外反母趾があるとかなりやりづらいですが、足の内在筋(足部の小さい筋肉)が衰えると更に外反母趾は悪化してしまうので、頑張って指トレしてください。

グー チョキ パー
変形が進んでいたり、踵が回内位(内側に倒れる)になっていると、指トレだけだとなかなか難しいです。

内側 外側
こうなってしまうと、足指の運動だけでは難しくなります。自分の足に合ったインソールを装着することもお勧めします。また、歩行時の下肢の運動連鎖が崩れている可能性があるので、インソールに加えて股関節~足関節までの調整もお勧めします。
SMiLE整骨院では、PNFによる下肢の動きの調整とトレーニングで対応しています。
足の痛みや、ダンスや運動をしていて足が踏ん張れない、軸が取りづらいだけでなく、メカノレセプター機能が低下することで転びやすくなります。PNFによる下肢の調整は、高齢者の方の転倒防止にもなります。「ちょっと気になるな」という方、お気軽にご相談ください。
日々を笑顔で元気に!
Keep smile
SMiLE整骨院 小口明美